危うく皇室テロでした

これまた何十年も前の話になりますが、
学生時代にアセアン10周年だかのタイミングがあり、
その記念式典として大きな舞踊ステージが企画され、
大学掲示板に通訳バイトの募集が上がり、
私もその一員として働くことになりました。

※通訳バイトは当時高給だったので、貧乏学生は
多少実力が及ばずとも果敢にダイブしておりました。

仕切っていたのは美しく、キャリアも人脈もある大人の女性。
準備後半の方はもう誰もが「やばい、本番やばい」状態で、
その美しい人が 「あーもー! みんなカネカネって!!!!!」
とキレているのを見ながら私も走り回っていました。

この開催、もちろん箱も大きかったのですが、
なぜここまで必死だったかと言うと、
初日に皇族をお迎えすることになっていたからなのです。
秋篠宮文仁親王と、紀子様と。


そんなわけで何かドーンとしたことをしなくてはならず、
アジア各国の楽団を1つにまとめた『アセアン虹のオーケストラ』
なるものを結成し、その全員と日本人指揮者の間に入る通訳が
私の仕事になりました。よく本番に漕ぎ着けたものです...

母国語の異なる100人が指揮者の元にまとまっていく、
その過程を共にすることは素晴らしい体験でした。
しかししかし、やはりアジア人。
アジア時間もあれば、アジア倫理もある。
練習中の「脱走」などは普通にありました。
そして本番当日も、直前にメンバー1人が行方不明になったのです。

もうあと30分で幕が上がるというようなタイミングです。
「△さん! △さんどこですか~!!!」
来場者の人混みを掻き分け焦り探しました。
その視線の先に△さん発見!
「△さん!!」と飛び出した瞬間、ガッと羽交い絞めにされました。

本物のSPに。

人生でSPに取り押さえられる経験をする人はそういません。
いったい何が起きていたのでしょう。

それまで△さんしか目に入っていなかったのですが、
その足元はレッドカーペットでした。
まさにその先に黒塗りの車が停まり、
秋篠宮様と紀子様が降り立ち、
赤い絨毯ロードは厳戒態勢。
人だかりがそこだけスッと一本抜けたような完璧な静寂。

そこに叫びながら飛び出したんですね (ノ∇≦*)

私の目の前を、お2人がにこやかに過ぎていかれました。

ニュースにならなくて良かったです。